中医学とは中国伝統医学の略称です。東洋の国々にそれぞれの伝統医学があり、インドの東洋医学はアーユルヴェーダと言って、韓国には韓医学があります。日本では東洋医学という名称の由来を遡って考えてみたいです。

実は日本の東洋医学の名称は[漢方医学]と言い、文字通り、漢字とともに漢王朝から輸入した方術です

7世紀には、遣隋使、遣唐使より中国から医学を直接輸入されるようになりました。

その医学は約一千年の間、特別な命名がないままで、日本に唯一の医学でした。

 江戸後期にオランダ(阿蘭陀)人が西洋医学を日本に持ち込み、二種類の医学を区別するため、[蘭方医学]と[漢方医学]という名称が同時に生まれました。
 明治時代から大きな変化がありました。政府は西洋医学を発展させ、次々に「漢方医学」をなくすような法令を発表し、その結果、明治22年医師の8割を占  めた漢方医者が、学校の倒産に伴い速く消えてしまいました。医師国家試験には漢方医学の問題も出ない現実は、令和になってもそのままです。

一方、中国では中医学が時代とともに発展しつつ、今なお西洋医学と同じく中医医師を育てる教育システムで、それぞれの医師免許で医療現場で活躍しています。 中医学は単なる医術と違って、経験から理論に昇華したものです。中医学にも生理と病理の概念に基づいて、診断基準と治療方針が明確した上で治療を行います。中医の解剖生理学の内容は臓腑、気血、経絡、精気神、バイオリズムに相当する子午流注理論などがあります。病理生理学と診断治療の面では八綱辨症、臓腑辨症、六経辨症、望聞問切,理法方薬などの方法論及び実行するステップに関する理論体系があります。
例えば頭痛でも、いちれつに「頭痛薬」と言うものは存在せず、中医学的に気血水が五臓六腑の中での運行状態を確認し、原因別に治療方針を決定します。具体的には、血虚頭痛や肝陽上亢頭痛、気虚頭痛、食滞頭痛、痰厥湿鬱頭痛のタイプで補血補気又は平肝熄風、活血化淤と言った治療方針になります。

中医学とは人体の生理・病理及び疾病の診断、予防、治療などを研究する科学で、独特な理論体系と豊富な臨床経験を持つ学問である。

 中医学の科学体系と学科属性:

中医学理論体系は理・法・方・薬を含めた整体観念を基本理念として、精気・陰陽・五行学説を哲学基礎として考え、臓腑経絡及び精・気・血・津液を生理、病理学基礎とし、弁証論治を診断治療とすることなどを特徴としている独特な医学理論体系である。